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岩田健太郎教授の動画は信用できないデマ?現場責任者の意見もまとめ

岩田健太郎教授

新型コロナウィルス「COVID-19」の現地調査で、ダイヤモンドプリンセス号に乗り込んだ神戸大学の岩田健太郎教授が、船内の絶望的な状況について警告しています。

YouTubeの動画を見ると、現地の安全管理と、厚労省の官僚手動体制に否定的な意見を発していることに対し、「信用できない」とする声もあるようです。

なぜ岩田健太郎教授の発言を信用できないとする意見があるのか、その理由についてまとめました。

岩田健太郎教授の船内レポート動画

2月18日、神戸大学の岩田健太郎教授が、新型コロナウィルス「COVID−19」が万円してホットスポット化している「ダイヤモンドプリンセス号」の悲惨な状況をYouTubeの動画にアップして注目を集めています。

2/19削除されてしまいましたが、別の動画でインタビューを受けていたのでそちらを掲載します。

14分間の動画は最初から最後まで衝撃的な内容です。

時間がない方用に内容をまとめるとこんな感じになります。

動画の内容まとめ
  1. 2月18日にダイアモンドプリンセス号に乗り込んだが、1日で追い出された
  2. 伝染病の専門家の立ち入りに対し厚労省は否定的だった
  3. よってDMAT(災害派遣医療チーム)として内部に潜入
  4. アフリカのエボラとか中国のSARSの状況よりもずっと“怖い”と感じた
  5. その理由は「危険ゾーンと安全ゾーン」の線引が無いぐちゃぐちゃな状況が原因
  6. 現地の厚労省のトップに提言しても聞く耳を持たない
  7. 現地には感染症の専門家がおらず、観戦記録に関するデータも取れていない
  8. 岩田の言動にムカついた人物によって退去させられる

厚労省の役人の方が悪いと言うよりかは、上からの現場への指示に問題があるような気もします。現場が悲惨な状況であることは間違いなく現場の人間が恐怖とともに感じ取っているでしょう。

岩田健太郎教授はDMATの元で働く、という当初の約束から、あまりの現地のずさんさに「感染症の専門家」としてのプライドをもって改善の提言を繰り返したことで鬱陶しがられ、船を追い出されています。

厚労省には厚労省の描くストーリーがあるのだと思いますが、結局その対応は後手後手に回っており、その対応に違和感と不満を感じる声が政権批判にも結びついてカオスな状況になているのが今の段階です。

政府は感染していない乗客を2月19日から随時「帰宅」させることを発表しましたが、その帰宅経路は「電車やバスなどの公共交通機関」であり、隔離はしない対応については非難と恐怖の声も多数上がっています。

ホットスポットを開放された人たちも家族の元に帰ることで一時的に安堵はしても、その周囲の人達は不安になることは明らか。

爆発的感染が始まるのでは、と危惧する声が上がるのも無理はないと思います。一方で、岩田教授の動画投稿に政府関係者も反論しています。

厚生労働副大臣「橋本岳」氏の反論

「橋本岳」の画像検索結果

ダイアモンドプリンセス号の現場責任者は自民党の厚生労働副大臣、橋本岳氏です。

ツイッターでも現地の活動状況を発信していますが、今回の岩田健太郎教授の動画レポートに対しコメントを発表しています。

個々人の努力や対応は認めるとして、その管理状況について、もっとオープンな発信をしないことには、感情的には今ひとつ信用に欠ける気もしますが…。

許可のある無しはこの際どうでもいいと思いますが、それより情報公開をもっと的確にすべきだと感じます。

「3700人を閉じ込めた客船の中で新興ウイルスが蔓延した」なんて映画みたいな事件を前に、「対応は完璧で100%」なんてことはありえないのはわかっていることです。ただ事実を中途半端に秘匿するからこうやって“潜入”する輩が出てくるんだと思います。

高山義浩医師の反論により岩田教授の“志”が明らかに?

高山義浩医師の画像

岩田健太郎教授の動画による告発を受け、DMATに入って行動しては?という提案をした方が判明しました。

厚労省で現在技術参与を務められている、高山義浩氏です。高山医師の反論により、岩田健太郎教授の動画でのいくつかの「齟齬」が判明し、やがて「もう議論することはない」と岩田教授は動画を削除しています。

Facebookのリンクはこちら。

かなり長い内容ですが、気になる点をまとめると、

  1. 1日で追い出された→2,3時間が正しい。岩田教授が見たのはラウンジ周辺のみ
  2. 厚労省で働いている某氏が「入っていいよ」→言ってない。やり方を考えましょう、と言った。DMATのメンバーとして入るよう提言した。
  3. ゾーニングはぐちゃぐちゃ→完全ではないがゾーニングはしていた
  4. 患者とすれ違った→間違い。そんな導線にはなっていない。勘違いだろう。
  5. アフリカより怖い→岩田教授の感受性の問題。誰だって閉鎖空間での新興ウイルスは怖い。
  6. 船内に専門家はいない→間違い。感染症や公衆衛生を専門とする医師はいた。
  7. データを取っていなかった→間違い。感染研がエピカーブを公表している
  8. 高山医師は感染管理のことについて、最初から指摘するのはやめてくださいと教授へ伝え、「わかりました」と約束してくれたが、船内に存在する意思決定プロセスを完全無視してアドバイスを始めてしまった。
  9. アドバイスは概ね妥当だったとは思うが、案の定現場が混乱し、船を降ろされた

船内での岩田教授の行動を専門家として認めつつも、「ものすごく嫌な顔されて聞く耳持つ気ない」と嘆く岩田教授に対し、コンサルタントとしての能力が不十分だったのでは?と指摘。

岩田教授はの思想問題にまで発展してしまったことで事態がこんがらがってしまっている現状ですが、高山医師は「岩田教授の『志』を否定するつもりはない」とあえてカッコをつけているところも意味深ですが、

それよりも「解決を与えないまま現場を恐怖で委縮させるのは避けてほしかった」と中途半端に現場を混乱させて退船した姿勢については否定的でした。

高山医師のFacebookコメント全文

Facebookにログイン出来ず、読めなかった方はこちらを御覧ください。

高山義浩

岩田 健太郎先生の動画(コメント欄にリンク)を拝見して、まあ、「岩田先生らしいなぁ」と思いつつ、あまり気にしていなかったんですが、しっかり炎上しているようです。

岩田先生をご存じない方々には、ちょっと刺激が強すぎたのかもしれません。ただ、下船していく乗客の方々、現場で頑張っている方々を追い詰めかねない内容なので、事実は事実と認めつつも、動画のなかに登場する当事者として、勘違いされていること、抜けているところは修正させていただきたいと思います。

>厚労省で働いている某氏から電話がきて「入ってもいいよ」と、「やり方を考えましょう」ということでした。

これ、私ですね。ただし、「入ってもいいよ」とは言ってません。その権限はないので。ただ、「やり方を考えましょう」とは申し上げました。そして、環境感染学会が活動していたので、そこを通じてなら活動できるかもしれませんとアドバイスしました。でも、申し込むも(しばし放置されたのちに)断られたとのことでした。

>DMATのメンバーとして入ってはどうかというご提案を厚労省の方からいただいた

これ、私です。その通りです。

>DMATの職員の下で感染対策の専門家ではなく、DMATの一員としてDMATの仕事をただやるだけだったら入れてあげる

これ、私。ただし、「入れてあげる」とは言ってません。その権限はないので。ただ、「DMATとして入る以上は、DMATの活動をしっかりやってください。感染管理のことについて、最初から指摘するのはやめてください。信頼関係ができたら、そうしたアドバイスができるようになるでしょう」と申し上げました。

というのも、現場は乗客の下船に向けたオペレーションの最中であって、限られた人員で頑張っているところだったからです。そうしたなか、いきなり指導を始めてしまうと、岩田先生が煙たがられてしまって、活動が続けられなくなることを危惧したのです。まあ、クルーズ船とは特殊な空間ですし、ちょっと見まわしたぐらいでアドバイスできるものではないとも思ってました。

もちろん、岩田先生の豊富な経験を否定するものではありません。ただ、DMATや自衛隊、検疫所など多様な組織が重層的に活動している特殊な環境ですから、まずは慣れていただくことを優先するよう私は求めたのです。

>「分かりました」と言って現場に行きました。

というわけで、岩田先生は約束してくださいました。

>DMATのチーフのドクターと話をして、そうすると「お前にDMATの仕事は何も期待していない、どうせ専門じゃないし、お前は感染の仕事だろう、感染の仕事やるべきだ」という風に助言をいただきました。

これ事実です。岩田先生は、これで自分は感染対策についての活動ができるようになったと理解されました。ただ、船には、DMATのみならず、厚労省も、自衛隊も、何より船長をはじめとした船会社など、多くの意思決定プロセスがあります。その複雑さを理解されず、私との約束を反故にされました。せめて、私に電話で相談いただければ良かったんですが、そのまま感染対策のアドバイスを各方面に初めてしまわれたようです。

結果的に何が起きたか・・・、現場が困惑してしまって、あの方がいると仕事ができないということで、下船させられてしまったという経緯です。もちろん、岩田先生の感染症医としてのアドバイスは、おおむね妥当だったろうと思います。ただ、正しいだけでは組織は動きません。とくに、危機管理の最中にあっては、信頼されることが何より大切です。

>アフリカに居ても中国に居ても怖くなかったわけですが、ダイアモンドプリンセスの中はものすごい悲惨な状態で、心の底から怖いと思いました。

これは岩田先生の感受性の問題ですから、否定するつもりはありません。また、船という特殊な閉鎖空間において、新興感染症が発生しているわけですから、怖くないはずがありません。ただ、そのなかで継続して頑張っている人たちがいることは、ぜひ理解してほしいと思います。ちなみに、私は明日も船に入ります。

課題は多々ありながら、これまで少しずつ改善させてきました。まだまだ改善の余地はあります。ただ、乗客がいる以上は逃げ出すわけにはいかないのです。少なくとも全てのオペレーションが終わるまでは、乗客を下船させて地域に、世界に放つわけにはいきませんでした。

最優先事項は身を守ることだと感染症医の端くれとして私も思いますが、2週間にわたり船のなかで頑張っている人たちは、乗客を支えながら日本と世界を守ることを最優先としているのです。

そういう事態になってしまったことについて、政府を批判することは構いませんが、解決を与えないまま現場を恐怖で委縮させるのは避けてほしかったと思います。逃げ出せない以上は・・・。

>ダイヤモンド・プリンセスの中はグリーンもレッドもグチャグチャになっていて、どこが危なくてどこが危なくないのか全く区別かつかない。

感染症医として「グチャグチャ」と表現されるのは、分からないこともありません。でも、この表現はゾーニングがまったく行われていないかのような誤解を与えます。しかしながら、実際はゾーニングはしっかり行われています。完全ではないにせよ・・・。

たしかに、先進国の病院であれば、あるいは途上国でセットされるNGOや国際機関による医療センターであれば、もっと洗練された感染対策が実施されるでしょう。でも、いきなり、約3700人の乗員・乗客(しかも高齢者が多い)において新興感染症が発生した船舶・・・ というミッションは極めて複雑なのです。

私は海外でのNGO活動に関わったことがありますし、現在も国際NGOの理事を務めていますが、どんなNGOであっても、あるいは国際機関であっても、これが混乱状態から始まることは避けられないでしょう。この2週間が反省すべきところがなかったとは言いませんが、ここまで現場はよく頑張ってくれたなと私は思います。精神論と嘲笑されるでしょうが・・・。

>検疫所の方と一緒に歩いてて、ヒュッと患者さんとすれ違ったりするわけです。

さすがに、これは違います。そのような導線にはなっていません。患者ではなく、乗客ではないかと思います。乗客ですら、そのようなことは稀だと思います。

>話しましたけど、ものすごく嫌な顔されて聞く耳持つ気ないと。

感染症医はコンサルタントとしての能力が求められます。それは聞いてもらう能力でもあります。私は聞いてもらえなかったとき、相手がダメだとは思いません。自分の説明の仕方が悪かったと思います。

>でも僕がいなかったら、いなくなったら今度、感染対策するプロが一人もいなくなっちゃいますよ

これは間違いです。毎日、感染症や公衆衛生を専門とする医師が乗船して指導しています。ご存じなかったんだと思います。まあ、ご自身に比べればプロのうちに入らないと言われると、返す言葉もありませんが・・・

>シエラレオネなんかの方がよっぽどマシでした。

シエラレオネにおいて、先進国が運用する医療センターのことだと思います。最貧国の市中病院の感染管理の悲惨さと同一視させることのないようにお願いします。

>エピカーブというのがあるのですが、そのデータを全然とっていないということを今日、教えてもらいました。

これ間違いです。岩田先生のせいではありません。教えた人が知らなかったんでしょうね。感染研がエピカーブを公表しています。新たな報告を加えてバージョンアップされるでしょうが、すでに公表してますし「全然とっていない」わけではありません。

以上、私なりに感じたことを述べました。見解の相違もあれば、私が間違っているところもあるでしょう。ぜひ、ご指摘ください。ともあれ、私は岩田先生の「志」を否定するつもりはありません。クルーズ船の対応についても教訓としていけるよう、きちんと検証して活かしていくべきです。

そもそも、こんなことは初めての取り組みです。失敗がないわけがありません。それを隠蔽するようなことがあれば、それは協力してくださった乗客の皆さん、仕事を放棄しなかった乗員の方々、自衛隊の隊員さんたち、そして全国から参集してくれた医療従事者の方々を裏切ることになります。

ただ、いま私たちの国は新興感染症に直面しており、このまま封じ込められるか、あるいは全国的な流行に移行していくか、重要な局面にあります。残念ながら、日本人は、危機に直面したときほど、危機そのものを直視せず、誰かを批判することに熱中し、責任論に没頭してしまう傾向があると感じています。不安と疑念が交錯するときだからこそ、一致団結していかなければと思っています。

岩田健太郎教授のレポートを肯定する派の意見

岩田健太郎教授の動画レポートは、ダイアモンドプリンセス号の秘匿された状況を伝えるものとして衝撃を与えています。

NHKの報道ディレクターでジャーナリストの高木徹氏の意見。

作家・ジャーナリストの門田隆将氏の意見。

生物学者・池田清彦氏。ホンマでっかTVでもおなじみ。

権威性が全てではありませんが、ジャーナリストや医学界からもこの岩田健太郎教授のレポートには信頼性を感じている声が少なくないようです。

岩田健太郎教授を信用できない派の意見

岩田健太郎教授がなぜ「デマ」「信用できない」と言われるのか、その理由は、「左翼認定」されていることに根がありそうです。

また、過去の発言との一貫性や、東日本大震災の時の発言まで引っ張り出して「信用できない」「左翼だ」と口撃する人もいるようです。

が、コロナウィルスの対応については誰も予想し得なかったレベルに発展していることに加え、対策の全件は政府主導だったことを考えても、前回の発言と今の整合性が取れていなくても当たり前のような気もします。

岩田健太郎氏、高山義浩氏、いずれも感染症の専門家として、同じ課題に向き合うのであれば、世間の「右か左か」の論議は正直どうでもいいでしょう。

今は目の前の「感染拡大を防ぐ」ことに協力して当たって欲しいと切に願うばかりです。

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